栗原小巻の甲高い声おすすめ度
★★★☆☆
これまでに見た熊井啓監督作品は『サンダカン八番娼館』『下山事件』『死刑囚』『海と毒薬』と、どれも面白かったので、この作品も監督名だけで見ようと思った。
確かに熊井監督独特の白黒画面の映像美は感じられた。が、文芸純愛映画だけに、どうもストーリーに社会的広がりが無い。なんか加藤剛演ずる主人公の27歳大学生がウジウジと自分の家系と惚れた女について悩んでるだけのような気がした。ラストでは無事田舎で結婚して結ばれるんだけど、就職とかどうすんだろ?農業でもやんのかな。
あと栗原小巻の表情は清純っぽくて良いんだけど、声がどうも甲高くハキハキし過ぎていて、なんだかアニメ声優のような明るさで、非常に場違いな感がした。
暗く切なく、しかも清冽な美しさにあふれる見事な秀作!おすすめ度
★★★★★
自分の家系を呪われた血筋と忌み嫌って恐れる青年と、極貧と死の中で育ちながらも清純な気品を持った仲居との出会いと幸せに結ばれるまでを、画面の構図ひとつひとつが印象深く、主人公たちの心模様のように美しく、清く、切ない白黒の映像世界に描ききった。
あまり好きではなかった加藤と栗原の共演なのだが、この作品では二人とも初々しく好感が持てた。加藤の凛々しい顔もよかったし、、栗原の細やかな表情と気品あふれる姿に女優としての魅力を再認識した。
寒い冬の中で初夜を迎えたとき、「雪国では裸で寝るんだよ」と、加藤が衣類をすべて脱ぎ、栗原にもそうしたらと勧める。そうしたほうが、かえって暖かいんだよ、と説明する。自分もそうしてみたことがあるが、何か違った。暖かくなかった・・思えば当たり前のことだった・・・そのときは一人だったから・・・。
日本の美しさを切ないまでに感じさせる名作おすすめ度
★★★★★
美しい映画である。日本と言ふ国の美しさを、切ないまでに感じさせる映画である。中でも、雪の美しさは、言葉で言ひ表す事の出来無い物である。雪国の静けさと寒さを、そして、人々の暖かさが、心に伝わって来る作品である。今までに観た熊井啓監督の映画の中では、私は、この作品が、ダントツに好きである。熊井啓監督は、何故、こう言ふ美しい映画を、もっと作らなかったのだろうか。
(西岡昌紀/内科医)
何度観ても感動するとてもきれいな映画ですおすすめ度
★★★★★
昔子供の頃観てとても感動し、さらに大人になってまた感動した映画ですが、このDVDを観てまた感動してしまいました。モノクロの映像がとても素晴らしく、栗原小巻さんがとてもきれいです。ラブシーンもいやらしくなくきれいで、東北の映像が胸にじーんときます。
日本の文芸映画の名作おすすめ度
★★★★★
丁寧な撮影で、熊井啓の映画にしては、テンポ、流れもスムーズ。
栗原小巻のヌードで公開当時は話題になりましたが、こちらはあまり期待しない方が……。
上出来
おすすめ度 ★★★★★
背筋にゾゾゾという感覚が走りました
。従来の伝統を引き継ぎつつ、バランスがうまくとれてます。
こつこつお金を貯めてでも買う価値のある一品だと思います!
概要
学生の哲郎(加藤剛)は、東京下町の料亭“忍ぶ川”の看板娘・志乃(栗原小巻)と知り合い、やがて恋に落ちて結婚。哲郎の故郷でもある雪深い東北の地にて初夜を迎えていく…。
三浦哲郎の『同名小説を原作に、名匠・熊井啓監督が映画化した至高の純愛ドラマ。モノクロ・スタンダード画面の静謐な佇まいの中、日本人の持つ粋と土俗性を共に奏でていきながら、やがてドラマは究極の美しさを携えたラブシーンへと移り変わっていく。当時出血性胃炎を患っていた熊井監督は、現場で血を吐きながら撮影に臨んだというが、その生死を越えた執念は、映像にて類まれなる人間の美として昇華されている。同年度キネマ旬報ベスト・テン第1位。(的田也寸志)