名作の新装版発売を祝しておすすめ度
★★★★★
本書は、『鬼平』や『剣客商売』シリーズで死後も人気作家の地位を降りない、池波正太郎氏が描く、西郷の伝記的小説である。
明治の国際的知識人、内村鑑三が日本文化を世界に向かって発信するために記した『代表的日本人』という本がある。
西郷隆盛は、その本の冒頭で、真っ先に取り上げられている。このことからもわかるように、西郷は、我が国が長い歴史の中で得た、外国人にも胸を張って紹介できる傑出した存在であるといえよう。
例えば、単に有能な役人や政治家、軍人はいるだろう。
それに、単に理想を追い求める人道主義的な教育者もいるだろう。
だが、それらの諸要素を最高度に併せ持つ巨大さを持った、西郷のような人間は、ざらにはいない。
池波の筆は、そんな偉人、西郷の魅力と、近代国家として黎明期の激動の日本の歴史を余すところなく、紙の上に表現し尽している。
本書は大変構成力に優れた巧い小説だ。
西郷にまつわる様々なエピソードを時に強調し、あるときは大胆に省略し、劇的緊張を高め、最初から最後まで、読み出したら止まらないほどの面白さを発揮することに成功している。
この本は一読の価値がある。
歴史小説好きは勿論、それ以外の人も今回の新装版発売を機に、蔵書の一員に加えてみては如何だろう。
出来は非常に良いです。
おすすめ度 ★★★★★
わたくしめもついに買いましたよ
。値段の割には上出来。
感動やドキドキ感を手元に置いて、私同様に何時でも手に取って思い返して頂きたいと願います。