初期の作品のなかで最も名作といわれるのが今作「Today」です。 それまでの明るく陽気なビーチボーイズサウンドは影を潜め、落ち着いた大人のビーチボーイズサウンドが姿を現します。それを象徴するのがレコード時代のB面にあたるPlease Let Me Wonder以降のバラード曲の数々でしょう。数々の美しいバラード曲は、それまでのビーチボーイズのイメージを一新させてしまう程の破壊力があります。特にPlease Let Me Wonderは美しいメロディーから、ブライアンによる甘いボーカルまで全てにおいて素晴らしい。 B面に比べると影が薄いA面ですが、I Get Aroundの複雑なコーラスを更に進化させたDance, Dance, Danceをはじめ、Good to My BabyやWhen I Grow Up (To Be a Man)などポップな名曲がいっぱいです。
同じCDに収録されているもう一つのアルバム「Summer Days & Nights」は「Today」と「Pet Sounds」の橋渡し的な役割をもっている作品になっています。 A面は今まで通りの明るく陽気な曲が中心に収録されてるのですが、もう一方のB面に収録されているCalifornia GirlsやLet Him Run Wildはまさに「Pet Sounds」的サウンドそのまんま。「Pet Sounds」にそのまま収録されていてもおかしくないほどのクオリティーです。
ということで名作といわれている2作ですが、これほどのクオリティーのアルバムを1965年にだしていたというのが驚き。ビーチボーイズは60年代、時代の最先端を突っ走っていたのですね。
満足度の高い2作を収録おすすめ度
★★★★★
【ビーチボーイズ・トゥデイ】
何かと推論や分析されがちな作品。転換期、試行錯誤、次作や次々作の布石…。そうだとしても、それらは後から逆算した評価だ。もっと曲を楽しみたい。
まず抜群にパワフルな「ダンス・ダンス・ダンス」。考え抜いた音作りを意識させず、ポップスの楽しさを詰め込んだ傑作。「ヘルプ・ミー・ロンダ」の初演も良い。「お座敷小唄」を彷彿とさせる独特なフレーズが印象的だ。
「グッド・トゥ・マイ・ベイビー」も快作。初代ウルトラマンの歌を思わせるギターのリフがカッコいい。本作は全体に考え過ぎてない所が良い。演奏もコーラスも凝ってはいるが、適度に切り上げた潔さがある。
「プリーズ・レット・ミー・ワンダー」は音質が今一つだが見逃せない1曲。山下達郎氏によるほぼ原曲通りの秀逸なカバーもあり、曲の良さは証明済みだ。
本作はあまり先入観なく、気軽に楽しんでほしい。もう過小評価も過大評価も必要ない。
【サマー・デイズ】
「トゥデイ」に続く作品で製作時期も近いが、一転して開放的な作品。初期と同じ海モノ・夏モノながら、一段と深みを増し脂の乗った曲が楽しめる。
まず「カリフォルニア・ガールズ」。イントロ1発で世界が広がり、こういうのは任せろとばかりにマイクが歌い出す。曲も演奏も凝りに凝っていながら、ノー天気に歌い飛ばすブライアンの声も痛快だ。
さらに力作「レット・ヒム・ラン・ワイルド」。ボーナスで別テイクも入っているが、断然このOKテイクが良い。
だが更にお勧めは「素敵な君/You're So Good to Me」「恋の夏/Summer Means New Love」の2曲。ダンダンダダダダと「素敵な君」が始まると、それまでの曲すら吹っ飛んでしまう。ブライアンの伸びやかな歌いっぷりもコーラスも最高だ。
そして「恋の夏」。心地よくも切なく、夏の海が見事に浮かぶ名曲。まさに至福の時である。
ビーチボーイズって大人!おすすめ度
★★★★★
Today!のB面って、大人ですよね。スタンダードとして後々までカバーされそうな曲ばっかり。Summer Daysは個人的に最初に好きになったオリジナルアルバム(というか、聴き始めた頃これしかオリジナルCDがなかった)。その後、アナログ盤を探したりこのリマスターシリーズを全部注文したり、そうとうはまりました。ハーモニーの実力はものすごい。いつの世も残るのは、歌のうまさですかね。そうそう、ブックレットも充実してますよ、このシリーズ。
凄いの一言
おすすめ度 ★★★★★
とても面白いじゃないですか
。従来の伝統を引き継ぎつつ、バランスがうまくとれてます。
ご参考になれば幸いです。大変お勧めですよ!!
概要
このアルバムは、一枚のディスクで『トゥデイ』と『サマーデイズ・アンド・ナイツス』と、ビーチボーイズのアルバム二枚分収が録されている。さらにボーナストラックと再制作がついている。ブライアン・ウィルソンは、なかなか言い出せなかった自分の作りたい音楽を、後援者でもあった父のムレイ・ウィルソンに言えた時、この素晴らしい作品が出来上がった。それ以来彼はいつも自分のやりたいように曲を作ってきた。驚くことに、ブライアンは『ツデイ』の二枚目を占領する「プリーズ・レッツ・ミー・ワンダー」から「イン・ザ・バック・オブ・マイ・マインド」までの、優雅なオーケストラ調のアレンジや、甘いハーモニー、そして思春期を思わせる歌詞など、質の高いこれら作品を、実は精神的に不安定な時に作り上げたのだ。しかしこの交響曲調の「ペット・サウンズ」は、永遠に色あせることはないだろう。一方、「サマーデイズ・アンド・ナイツス」は、陽気でさわやかな曲だ。ビートルズとディランに影響を受けて、カール・ウィルソンはついにポップ調の「ガール・ドント・テル・ミー」でヴォーカルデビューした。このアルバムには、日本でヒットした「アミューズメント・パーク・USA」と、「ヘルプ・ミー・ロンダ」、「カリフォルニア・ガールズ」などが収録されているが、この曲はあと何百年後にもラジオで流れているだろう。ボーナストラックには、ブライアンが初めて挑戦したオーケストラ調の「ザ・リトル・ガール・アイ・ワンス・ニュー」と、ギターの試聴盤の「ダンス・ダンス・ダンス」が収録されている。