山崎豊子氏の白い巨塔を読んだ時にも感じたのでしたが、大学病院の人間関係やポジション争いは、歴史の浅い会社のサラリーマンの想像を絶するのだろう...ということを本書では垣間見れます。
「受身型」ワトソンと「攻撃型」ホームズによる推理小説おすすめ度
★★★★☆
正直、前半2/3を読んだ時点で、『事件の中心人物』・『原因』が予測できました。
そういう意味では、本格的な推理小説やミステリーとは少し違うのかもしれません。
前半は主人公である田口先生と一緒に関係者を知る事から始まります。
『じっくり』タイプの田口調査と、田口先生の感じた事を同時に味わいながら読み進めているうちに
後半、その安定感は『火喰い鳥』の登場でいきなり崩れ去ります。
そこからは完全な白鳥ペース。田口ペースで慣れた読者であればあるほど、
田口と同じように白鳥に翻弄されながら一気に最後までまくしたてられます。
前半で感じていた自分の『予感』に自信がなくなってきた頃、
最後の事件が発生。そして白鳥により事件の全てが明らかに。
一番最後に繰り広げられる高階・田口の会見は、
白鳥ペースに巻き込まれぼろぼろになった読者へのクールダウンみたいなものでしょう。
田口先生と高階先生の株がここでアップし、読量感はなぜか爽やかです。
主人公の考え方・進め方にシンクロできる人ほど、楽しめるのではないでしょうか?
逆に、鮮やかに事件を解決してゆく推理系がお好みの方には、向いていないかもしれません。
あとがきにもありましたが、これは、枝葉の多い『受身型』ワトソン・『攻撃型』ホームズコンビのお話です。
宮部みゆきの『模倣犯』・奥田英朗の『イン・ザ・プール』のような分析系(?)が好きな方にはおすすめ。
凄いの一言
おすすめ度 ★★★★★
言うまでもなく最高峰
。とにかくこれは絶対買いだ!
ホント満点を付けても良い出来です。