主人公の近衛文隆をはじめとする個性的で魅力溢れる登場人物たちと、第二次大戦を挟んだ激動の時代が絡み合って生み出されたこの作品のダイナミズムは、フィクションによってもたらされる生半可なエンタテインメント性を完全に凌駕してしまう。さらに、人物描写、ストーリー展開、ミステリー的な要素を加えた叙述方法などのテクニック面に秀でていることが、そのダイナミズムに大きく寄与している。そして、歴史の重みや運命の皮肉と言ったことに思いを馳せざるを得ない点でも高い完成度を誇っていて、まさに「事実は小説よりも奇なり」と言う常套句が相応しい作品に仕上がっている。
笑えて、、、そして、泣けます。おすすめ度
★★★★☆
近衛家の快男子、近衛文麿の長男文隆の生涯を中心に、歴史や文隆をめぐる人々を描きます。
上巻は、アメリカでの留学生活での、活躍ぶり(よく遊び、よく遊ぶ)、仕事先での上海での恋模様(相手は、実は・・・)が中心です。
下巻は、二等兵として入隊した軍隊での生活、ロシアでの捕虜生活が、中心です。
上巻は、快活な雰囲気で話が進みますが、下巻は、戦争の進展、そして捕虜生活となり、物悲しい雰囲気になります。
いかにも貴族らしいの鷹揚な活躍ぶり、そして奥様など家族や友人の苦労や悲しみ・・・笑えて、そして泣ける本です。ボリュームもあって、読み応え満点です。
また、戦前のアメリカや上海、戦争中の満州の様子~街並み、人々の生活や考え方、経済~日本の貴族社会(?)の様子等が、よくわかります。ゾルゲ事件等、筆者の周りで起こる事件についても、詳しく書かれています。戦後の日ソの関係についても、知ることができました。
西木さん、ありがとうございましたおすすめ度
★★★★★
たった今読み終えて、感動に胸が震えています。緻密な史実の調査に裏打ちされた壮大なストーリー展開、登場人物達の繊細な描写は見事としか言い様がない、まさに第一級のドキュメンタリー・ノヴェル。私は文隆氏が子供時代を過ごされた目白の旧近衛邸の近くに住んでおりますが、マンション建設のための取り壊し前は外国人のお住まいになっていました。このお屋敷に住んでおられたという近衛氏の側近のご家族に近衛家のお話を伺った事がありましたが、実に浮世離れした華麗なご家族であったようです。その御曹司が過酷なラーゲリで悲しい最後を遂げるまでの苦しく永い歳月を思うと、戦争という国家的な犯罪の重さを感じずには居られません。今の平和はこうした方々の勇気と祈りの上に成り立っているの事を改めて深く感謝したいと思います。
西木さん、素晴らしい感動をありがとうございました。
異国の丘おすすめ度
★★★★☆
劇団四季ミュージカル「異国の丘」を観て、原作であるこの本を検索している人が多いのではないでしょうか。私もその一人です。
原作のミュージカルはずいぶん変えてあるとのことでしたが、確かに違いはありますが、大筋は一緒で、ミュージカル同様胸に熱いものが残ります。
納得の出来
おすすめ度 ★★★★★
まさに夢のコラボです
。出来は今更ながら言うまでもなく素晴らしい。
ご参考になれば幸いです。大変お勧めですよ!!