時代を超えて、胸に響いてくるメッセージ。おすすめ度
★★★★☆
「やっぱり、おれが思ってたとおりだ。おめえの心の底には、本物の勇気がある。それは、おめえのオドから受けついだ勇気だ。だけど、おめえはまだそれに気がついていねえ。おめえは自分で自分を意気地なしだと思っているし、人もおめえを、情けねえモヤシだと思っている」
「人間、なんでも、気の持ちようだぜ。自分が乗り物に弱いと思ってるから、すぐ酔っ払っちまうんだ。おめえが、自分に勇気がねえと思ってるから、いつまでも弱虫でいるみてえにな」
―――本書より、“座敷わらし”・ペドロのセリフ
北東北の、温泉のある山間の小さな村を舞台に、タンカーに乗っていた父の事故死を機に都会からその村へ越して来た少年・ユタ(本名=水島勇太)が、害のない妖怪として知られる“座敷わらし”のペドロたちと出会い、彼らとの交流を通して“貧弱な坊や”状態(ブルワーカーの広告か!)から、心身ともに成長してゆく様子が描かれている。「ぼく」の一人称で語られる児童文学―1971(昭和46)年、新潮少年文庫の一冊として刊行―ではあるが、エッセイなどでもおなじみだった作者ならではのおっとりとした語り口のせいか、ユタのモノローグが作者本人の言葉であるように思われる部分などもあり、それがこの作品に、ちょっと奇妙というか、よくいえばユニークな味わいを与えているのだが。ともあれ、ユタに語りかけるペドロのセリフなどには、(読者として想定した)子どもたちに対する「君たちの中には、もっともっと可能性が眠っているはずだ」、というような、時代を超えて胸に響いてくる作者の想いが強く感じられ、もういい年をしたオレ自身も、読んでいて大いに励まされる思いがしたのだった。なお、74年にはNHKでドラマ化(近年DVD化も)。極力、この原作の世界を尊重して映像化した佳作(ただし、終盤の展開は大きく異なる)。
納得の出来
おすすめ度 ★★★★★
はっきりいって、すさまじい出来です
。ファンなら買って間違いなく損のない品ですね。
すばらしいものだと感じましたので☆5評価としました。