あぁ怖!という感じでもなく物悲しい短編集でしょうかね。色々な「鬼さん」たちのお話です。「女の首」が人気のようで・・・ホントにいいお話でした。「灰神楽」が少し中途半端だったかなぁ・・。「蜆塚」も中々の出来でした。宮部さんの実力が充分に発揮されている上等な一冊。
怖いというより、哀しいおすすめ度
★★★★★
シンプルながら迫力あるタイトルと、表紙の絵柄にすっかりびびってしまい、
「宮部みゆきが本気出して書いた怪談集なんて、読んだら夜眠れなくなるのでは…」
と、なかなか手を出せずにいました。
が、いざ読んでみると、どの話も、恐怖より人の哀しさ、切なさが残りました。
個人的に、背中がゾクッと寒くなるような読後感は、むしろ「堪忍箱」のほうが感じるかも。。。
女は哀しい。人は哀しい。そんな読後感の残る一冊でした。
この手のものを書けばおすすめ度
★★★★★
ただひと言、「名人」。
としか言いようがないです。
いろいろなものを書きたいでしょうし、また、かける人ですが、
永く、根気よく、長命を保ってこのようなものを書き続けていただきたい。
池波正太郎、藤沢周平なきいま、切に願います。
恐ろしや、人の情念おすすめ度
★★★★★
巷に、恐れるものや人情があった江戸を舞台に展開する9編から成る「物の怪短篇集」。
木綿問屋の丁稚が経験した摩訶不思議な「居眠り心中」。
一人称で語られる亡霊の復讐劇「影牢」、
怨念の鬼がとりついた酒屋の「布団部屋」、
恨みがもとで正気を失った姉の話「梅の雨降る」、
鬼とともに生きる「安達家の鬼」、
かぼちゃの神様が、声が出ない太郎を守る「女の首」、
女の鬼が若い女を救う「時雨鬼」、
人の狂気を操る「灰神楽」、
死なない人間が現れる「蜆塚」。
鬼、物の怪の正体は、
人間の恨み、嫉妬、欲望、よこしまな心か・・・・・・。
あるいは愛か・・・・・・。
げに恐ろしきは、人の情念なり。
されど、また、温かい情が人を救う。
はっきりいって、すさまじい出来です。
おすすめ度 ★★★★★
まさに夢のコラボです
。このアレンジが秀逸の一品から感じたことは、素晴らしい才能の奥深さ、ということです。
ホント満点を付けても良い出来です。