70年代の映画ファンにとっては「エアポート」シリーズには思い入れがありますが、「コンピューターグラフィックに頼らないミニチュア(しかもバレバレなブルースクリーン)」での特撮がチープで、かなり痛いです。「大空港」「'75」「'77」でオール・スター・キャストで頑張ったこのシリーズも、今回は凄いんだか、凄くないんだか、よくわからないキャスティング・・・アラン・ドロンに「エマニュエル夫人」のシルビア・クリステル、「タワーリング・インフェルノ」で泣く演技しかしてないスーザン・ブレイクリーと、グラスタワーの宣伝部長役だったロバート・ワグナーが恋人という設定。また「華麗な探偵ピート&マック」でロバート・ワグナーとコンビを組んでいたエディ・アルバートが大して重要じゃない役で登場。昔の映画に詳しい人が見たら、まるでジョークのようなキャスティングですよね(笑)人間ドラマもイマイチ、スペクタクルもイマイチなんですが、エアポート・シリーズというノルマを守ってファンを楽しませようとしてくれた制作者たちに「お疲れさま、楽しかったよ」と言ってあげたくなるような、フィナーレ的作品。いまの時代は映画が身近になりすぎて簡単にこき下ろす人が増えましたが、この頃のファンは映画に対するリスペクトがありましたよね。いろんな意味で懐かしいです。なんだかんだ言って好きな作品だったりします(笑)
70年代航空パニック物映画の第四作――シリーズ中で最も気に入っています。おすすめ度
★★★★★
この作品も、他のシリーズと同様、ポスターやCMを見ただけで非常に心魅かれていながらも、公開当時に劇場まで見に行く機会がなく、後にTV放映された時に初めて見て、すっかり夢中になってしまいました。
とにかく、アラン・ドロンのパイロット姿と、コンコルドの麗姿を見るだけでも値打ちがある――と、知人に紹介する時に必ず言っては呆れられているのですが、これは本当のことなので仕方ありません。『大空港』の時から感じ続けて来たことではありますが、本当に、どうしてこのシリーズに出演しておられる俳優さんたちは、制服姿があんなに小憎らしいまでにぴたりと決まるのでしょうか。今回は特に、それを着るのが「あの」アラン・ドロンですから、もう、似合わない筈などありません。文字通り、見事に絵になるパイロット姿には、思わず陶然と見入ってしまいます。また、所謂「乗り物」というものに対しては、幼い頃からさぼど興味を持つことの無かった私が、公開当時、ポスターに描かれたその姿を見ただけで一目惚れして、「一度は乗ってみたい」と感じてしまった、純白の怪鳥コンコルド……あの美しい空の貴婦人のパイロット役に最も似合うフランスの俳優さんはと言えば、矢張りアラン・ドロンしか考えられないような気がします。
物語は、シリーズ中でも最もスケールの大きいものとなっており、次から次へとコンコルドを、そして乗員乗客を襲う重大な危機の数々に、手に汗握りながら一気に見終えてしまいます。CGを駆使した最近の特殊映像に変に慣れてしまっている目で見直してみても、決して見劣りしないどころか、ずっと迫力ある出来映えにさえ感じられてしまうのは、これも、脚本・演出・演技――作品を構成する様々な要素の「確かさ」によるものでしょう。
TV放映時の日本語吹替音声も、本当に懐かしく聞くことが出来ました。
いくらコンコルドが速かったとはいえ・・・・おすすめ度
★★★☆☆
「エアポート」シリーズの第4作。原題は「ザ・コンコルドエアポート79」なのですが、当時の公開時期により邦題は「エアポート80」とつけられているのにはご愛嬌(笑)。
しかしねシリーズを追うごとに滅茶苦茶パニックになっていく本シリーズは、ついに対空ミサイルに迎撃されるといった、これまたトンデモ内容。さらにそれをアロン・ドロン演ずるパイロットがあの巨体のコンコルドを操縦して交わすといった、ハチャメチャさが面白いかどうかが、この作品を楽しめる肝となるでしょう(笑)。しかし、70年代当時はこの手のパニック映画が大うけしていたのですよ。ある意味娯楽に徹した良い映画だと思いますが、ちょっとこれはシリーズが下降線のときの作品なので「大空港」「75」「77」ほどの面白度は無かったですね。
上出来
おすすめ度 ★★★★★
非常に素晴らしい一品だと思います
。ファンであれば購入価値は高いかと存じます。
すばらしいものだと感じましたので☆5評価としました。
概要
ユニバーサルの名物シリーズも4作目を数えた。前作「エアポート'77/バミューダからの脱出」の反省からか、今度は当時最新鋭の超音速旅客機コンコルドを舞台に、フランスからアラン・ドロン、シルヴィア・クリステルの2大スターを招き、内容的にも軍事企業がミサイルでコンコルドをねらい撃ちするなど、派手な見せ場を増やしている。特筆すべきはシリーズ唯一の常連ジョー・パトローニ(ジョージ・ケネディ)が、初めて主役級の扱いで登場。ドロンのフランス人機長と共に活躍を見せるあたりは、シリーズのファンにはうれしい限り。
デビッド・ローウェル・リッチ監督の演出は、前半をコンコルドVSミサイルの攻防戦、後半にはコンコルドに仕掛けられた装置のせいで機体が分離するといったパニック・シチュエーションを設けており、危機また危機のサスペンスを巧みに盛り上げてみせる。その一方で、これまでお助け人としか扱われていなかったパトローニの過去や人間性に触れるくだりも描かれている。オールスター・キャストが売り物の「エアポート」シリーズだが、シリーズ最終作となった本作では、総花的な顔見せ芝居ではない丁寧なキャラクター描写とサスペンスが相互に作用して盛り上がりを見せたのは、ある意味皮肉かもしれない。(斉藤守彦)