オリヴァー・ストーンが、脚本と監督を担当。一攫千金を夢見る若き証券マン、バド(C・シーン)の目を通して陰謀渦巻く証券業界の舞台裏をのぞく。ウォー ル街で生きる人間たちにとっては「金」が全て。金のためなら利用できる人間は徹底的に使うという、富豪ゲッコー(マイケル・ダグラス)の非情が、象徴的な メッセージとなっている。どんなに非情でもこれがウォール街なのだ。その対極にバドの父親(M・シーン)を置くことで、金銭では買えない家族の愛情にも目を向けている。
富 豪ゲッコーの対極に航空会社に勤めるバドの父親(M・シーン)を据えることで、世界経済の中心であるウォール街におけるマネー戦争の汚さを、大衆向けにわ かりやすい形で見せてくれた。マイケル・ダグラス、C・シーン、M・シーンの丁々発止の心理描写が見所。社会派エンタテインメントでありながら、心理サス ペンス・ドラマの要素も存在。この世界を全く知らない人間も大いに楽しめる大作となった。だからこそゲッコー役のM・ダグラスは本作でアカデミー賞主演男 優賞を受賞するなど、大衆の支持も厚かったものと思う。
実は家族愛に満ちた傑作です!おすすめ度
★★★★☆
オリバー・ストーン監督の中で一番好きな作品です。
この映画の本質は、安易なマネーゲーム(アメリカン・ドリーム)の現実を
描き、批判し、皮肉り、それを引き出しにして、観客に本当に大切なもの
(例:家族愛)とは何か?気づかせるところに、この作品のキモがあります。
テーマの選び方・手法が、まさしく古典的なアメリカ的手法。そういう意味で、
この監督さんの描きたい物は、いつも一貫していると思います。
『金が絡む時は、家族以外の人間は信用するな!』という、大変わかりやすい警告で、
登場人物は父親以外、誰一人として信用できない状況に描きます。
そうすることにより、シャーリー・シーンが実の父親と競演している、
すべてのシーンが、大変効果的になってくるというズルイ手法です。
『おまえは財布の重さで人を判断するのか!』という台詞や、聖書の詩篇を
引用して、息子の熱を冷まさせ、ゲッコーという人間の本質を
見極めさせようとするシーンであるとか、実に身にしみてきます。
実の親子競演で、あんなに直球で、グイグイと堂々と、演じられれば、
観客の心に響かない訳がないです。それとは対照的に、ゲッコー(マイケル・ダグラス)が熱く語る程、
何もかもすべて嘘に聞こえます。マイケルダグラスの快演ぶりも、
氷の微笑よりも数段に素晴らしかったです。
またダリル・ハンナの演技も、軽薄さ(薄情)が、浮き上がり、その最低
ぶりがも大変よく強調されていて、こちらはブレード・ランナーのアンドロイド役以来の好演だったと思います。
金融の知識がなくても楽しめますおすすめ度
★★★★☆
国際金融の中心地「ウォール街」を舞台に、血気盛んな若き証券マンと冷徹無比な大富豪が繰り広げるマネーゲームを、シンプルかつドラマチックに描いた、実に社会派オリバー・ストーンらしい映画です。
オープニングから秀逸。電車からオフィスビルのエレベーターに至るまで、すし詰め状態を突破しながら職場にたどり着くサラリーマンの様は洋の東西を問わないものだと思わず苦笑させられます。このシーンこそが、「金持ち」という階級にたどりつけないその他大勢の悲哀をじわりと観るものに浸透させ、怒涛のように始まるマネーゲームに向けての最高のつかみとなっています。
主演のチャーリー・シーンは、「ルーキー」同様、あと一歩殻を破りきれていない若者という、彼にとってのはまり役をそつなく演じています。それ以上に強い印象を残すのが、大富豪ゲッコー演じるマイケル・ダグラス。2世俳優ならではの毛並みの良さで、冷徹で高慢、徹底的なリアリストである機関投資家という役に深い陰影を持たせています。このゲッコ-というキャラクターの構築に成功したことこそ、この映画最大の魅力でしょう。彼が語る金融エリートたる信条は、傲慢ではあるけれど、一方で真実を的確についており、深く心に残ります。
「マネー」という映画的とは言い難い要素を、スペクタクルに昇華させたオリバー・ストーン一流の演出に感服。金融の知識がなくても問題なく楽しますので(むろん、あった方なお楽しめますが)、誰にでもお奨めできる作品です。
80年代おすすめ度
★★★★★
主人公の父であり主役の父であるマーチンシーンの
「父ちゃん」的なルックスと演技が大好きです。
時代と人間のクセが関係しているように感じるとこもありますが、
親子は昔ながらな感じでつながってるのがいいです。
エンディングの曲も地味に好きです。
証券界を刺激的に描くオリバー・ストーン監督の傑作おすすめ度
★★★★★
証券金融界をこれだけドラマティックに描き、成功した映画は他にないだろう。(他にエディー・マーフィー/ダン・エイクロイド主演の「大逆転」など面白いと思うが、この映画はコメディーである。)
生き馬の目を抜く世界に生きる証券マンやダイナミックに企業を買収する銀行家達のドラマは、得てして、同業者以外の者が見ると冗長なドラマになるのだが、この映画は違う。ストーリー展開のテンポも良いし、台詞も凝っている。
特に圧巻なのは、ゴードン・ゲッコーの存在感であろう。マイケル・ダグラス演じるゴードン・ゲッコーは、実在の人物で、ジャンク債の帝王と呼ばれたマイケル・ミルケンをモデルとしているようだ。
ミルケンも、劇中のゲッコーの台詞で「アメリカの1%の金持ちがアメリカの資産の半分を持っている。そして、その内の3分の1は働いて財を成し、残りの3分の2は、未亡人やいかれた息子たちが継いだ遺産だ。私はゼロから苦労して今の地位を築いてきたんだ」と語っていたように、努力によって巨万の富を築いた人だったようだ。1946年生まれのミルケンは、ブッシュ大統領と同じ年に生まれた。10代の時に「成功するには人より長く働くこと」という規律を自分に課していたという。ニューヨークにあるドレクセルというボンドトレーディングの会社でトレーダーとして働き始めた彼は、午前4時半に出社し、ランチはいつも秘書がサンドイッチとソーダーをトレーディングルームに運ぶのが習慣。それも午前10時。そして夜7時半まで働いていたという。
魅力的な実在の人物をモデルとし、絶妙な配役で、テンポの良いストーリー展開を為すこの映画は、オリバー・ストーン監督の傑作と位置付けられると思う。
出来は非常に良いです。
おすすめ度 ★★★★★
これが発売されるのを心待ちにしていました
。このアレンジが秀逸の一品から感じたことは、素晴らしい才能の奥深さ、ということです。
こつこつお金を貯めてでも買う価値のある一品だと思います!
概要
出世欲に燃える若き証券マンのバド(チャーリー・シーン)は、カリスマ的魅力をもつ富豪のゲッコー(マイケル・ダグラス)に取り入ることで、みるみるうちに実績をあげていく。しかし、ゲッコーの悪どく汚い稼ぎ方にやがて疑問を抱き始め、やがて反旗をひるがえす。
オリヴァー・ストーン監督が、世界経済の中心であるウォール街におけるマネー戦争の実態を赤裸々に描いた社会派エンタテインメント。非常に大衆的な作りになっているので、株に疎い人でも容易に楽しめる。
ゲッコー役のM・ダグラスは本作でアカデミー賞主演男優賞を受賞。また、C・シーンの実父マーティン・シーンがバドの潔癖な父親に扮し、怒とうのごとき存在感を示してくれている。(的田也寸志)