痛快な池宮史観に拍手おすすめ度
★★★★★
この作品の面白さは、作者が包む歯に衣着せぬ歴史観にある。
先の四十七人の刺客の時も、数ある忠臣蔵伝記とは一味違った視点で描いているが、
変に英雄視せずに現実的に沿った評価を公平に与えている所に
魅力を感じた。
比較される、
報道出身の司馬史観との違いは、熱にあると思う。
司馬作品が冷徹なまでの客観的なリアリズムを追求して
ルポルタージュの様に物語が作られるのに比べて、
映画出身の池宮作品は、
主人公を軸にした主観的な群像劇に仕上がっている。
その間に、様々な背景や批評が挟まれる。
個人的な話、
どちらが優れているかは論外だが、
実写で観たいのは池宮作品である。
勇猛果敢、比類なき島津の戦ぶりおすすめ度
★★★★☆
下巻のメインは関ヶ原の合戦。望まぬながら、西軍に属してしまった主人公、島津義弘。戦音痴の石田三成に、夜襲の打診などの助言を悉く無視され、苦汁を飲まされつつも、苦心して築いた人的ネットワークを駆使し、必死に島津家生き残りを模索する。
そして向かえた関ヶ原の合戦。小早川秀秋の裏切りにより壊乱する西軍の中、寡兵ながら、軍容を整え、領国に帰還するため死を決し、雲霞のごとき東軍の中を、強行突破を試みる島津家家中。その際に義弘が家臣に口にする台詞がしびれる。 「聞いての通りじゃ。わしは帰ると決めた。/その方らの一命を、ここで使い捨てる。/後ろへ退るのは愚である。相手の意表を衝く。前に突き進む」
勇士たちの活躍に血沸き肉踊る。余計なものを一切そぎ落とした名文。最初から最後までクライマックスの連続という感じで、ハラハラさせられる。
以上の点を持って本作は、スリル満点の傑作小説であると評せられる。
戦争に負け、駆け引きで勝つおすすめ度
★★★★★
無敵の島津軍。
関が原でも注目の的。
徳川が勝つと感じながらも、石田側で参戦する。
じっと、戦況を睨み我慢を続ける。
そして、最後の決断により、島津は動き出す。
ただ、動くだけではない。
戦後の交渉を有利に運ぶにはどうするのか。
多くの思考が頭に中を駆け巡る。
その動きがよく伝わります。
そして、なぜ関が原で負けた中で島津藩だけが加増されたのか。
これには、大きな気づきがあります。
思ったほど・・・・・!おすすめ度
★★★☆☆
一気に読んでしまったが、予想できる筋書きで、思ったほどおもしろいとは思わなかった。
司馬遼太郎の作品の焼き直し、司馬作品を一捻りした感じである。しかし、これをやってみたくなる気持ちがよく分かる。
関が原は、どうしても謎であり、謎解きをしてみたい、題材なのであろう。
負けてなお勝つおすすめ度
★★★★★
関ヶ原で西軍に属し、結果として敗軍の将になった義弘は、負けてもなお負けなかった。その薩摩魂には学ぶところがたくさんある。関ヶ原の島津軍は思わず著者の創作なのではと思ってしまうほど、無茶なことをしている。史実をもとにしているのだろうから、驚きとしかいいようがない。
すばらしい!良作!
おすすめ度 ★★★★★
はっきりいって、すさまじい出来です
。ファンなら買って間違いなく損のない品ですね。
買って良かったと思います。